はしか撲滅の早期実現と感染防止に向けた抜本的対応を求める緊急要望
厚生労働大臣
柳沢 伯夫 殿
大阪民主医療機関連合会
会長 池田 信明
今春から東京都をはじめ関東中心にはしかが集団発生しています。関東では昨年もありましたが、今年はそれ以上に広がっています。幼稚園や小学校での学級閉鎖に加え、大学生の発生が多く、感染拡大の防止のために休講などの措置が各地の大学でとられる異常な状況が出ています。大阪府下でも阪南大学(5月26日から6月2日)、大阪工業大学(5月29日から6月4日)が休講しています。
1978年から現在のはしかワクチンが定期接種となりましたが、現在小学校2年生から30歳の世代が1回接種世代です。国立感染研究所の資料によると、MMRワクチン(三種混合ワクチン)が1993年に接種中止になりましたが、直後に生まれた児童に免疫能力の落ち込みがみられるとあります。さらに、その数年前に生まれた児童には2回目の接種がされていないことから、今後この世代で爆発的に流行する恐れがあることを警告しています。
先進国では、1980年以降児童に2回のワクチンを接種することにより、ほぼ撲滅に近い状態になっています。それに比べ日本は対策が遅れ、海外にウィルスを持ち込む「はしか輸出国」とさえ言われています。
はしかの流行は、数年周期で訪れるといわれており、前回は2001年に流行しました。昨年からの流行の兆しが見えていることから、今年の流行は容易に予測され、大学を始めとした学校の閉鎖や、風評も含めて国民は不安にかられており、検査やワクチンを求める問い合わせが各医療機関に殺到していますが、検査に必要な薬剤やワクチンは、地域の医療機関ではすぐに手に入らない状況です。厚労省によるとワクチンの在庫が5月24日現在、13万本になり、わずか8日間で3分の1に減ったと報道されています。
私たちが考える今回の問題点は、 ①麻しんワクチンの不足:定期接種がMRワクチンに切り替わり、メーカーが単独ワクチンを減産しているため、製造に6ヶ月かかることもあり、急な需要拡大に生産が追いつかず緊急対応ができない。 ② 抗体検査試薬の不足:はしか抗体検査結果でワクチン接種を呼びかけるため、抗体検査試薬が不足して、はしかの免疫の有無を調べる大切な検査ができなくなっている。 ③ マスコミ報道で殺到することがわかっていながら、行政の対応が遅すぎる等が考えられます。
そこで、厚生労働省は、先進諸国では、すでにはしかはほぼ絶滅状態にある一方で、日本ではいまだにはしかが流行しており、さらに爆発的な流行があるという警告が出されているにもかかわらず未だに対応が遅れており、これまでの厚生行政の対応の誤りと自治体での対応の不充分さを認め、はしか感染防止に向けた抜本的対応を求める以下の緊急要望をいたします。
記
- 先進国常識になっている麻しん撲滅早期実現を国の基本方針として確認すること。
- 感染状況を全県で正確に把握し、情報を公開し、予防対策も含めて国民に正確に注意喚起すること。
- メーカーに対し、麻しんワクチンの量産を指示し、検査作業の迅速化を図ること。従来のワクチン接種状況や羅漢状況から接種必要量を科学的に割り出し、メーカーに必要量生産させること。なお、麻しんワクチンは製造が6ヶ月かかるといわれていることから、現在常時生産可能な、代替としてのMRワクチンを増産させること。
- 供給に対しては、緊急対策の必要な地域への優先供給など、供給が偏在しないようメーカーや卸に対し、指導を強化すること。
- 抗体検査の実態を把握し、検査試薬メーカー各社に試薬の緊急増産を指示すること。
- 麻しんの流行が予想されたにもかかわらず、今回のワクチン及び検査試薬の供給不足により、国民及に多大な不安を広げたことを教訓とし、少なくとも麻しん1回接種世代は全員に、希望する国民には抗体検査を国庫負担で実施すること。抗体価の低い人には、無料で麻しんワクチンまたは、MRワクチン接種を国庫負担で実施すること。
- そのためにも、MRワクチンの有効性と安全性、使用上の注意など情報公開すること。
- 今回の対応を十分総括し、来るべき新型ウィルス感染対策に生かすこと。
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