学術運動交流集会

2021年 大阪民医連 学術運動交流集会 開催
演題募集要項

はじめに

「共存社会、この時代を乗り越えるために」

学術運動交流集会実行委員会
実行委員長 中村 賢治

 中国武漢市で発見された新型コロナウイルスの流行によって、人びとのいとなみは様々な影響を受けました。過剰な報道によって、私たちは恐怖と不安を植え付けられ、すべてが新型コロナ中心の思考、言動、生活様式に変えさせられました。私には、第二次大戦中、銃後を守るとして生活様式を強制した社会と重なって見えます。新型コロナにさえ感染しなければ、失業者や自殺者が増えても良い、西成での炊き出しが減って餓死者が出ても良い、知的障がい者が外出できずに症状を悪化させても良い、家庭内暴力から逃げられなくても良い、高齢者のフレイルが増えても良い、リモートで学習する機材が買えない貧困層の子どもの学習が遅れても良い、そんな思考に陥っていませんか。本当にここまでの対策が必要な疫病なのでしょうか。
 また、感染者を悪者扱いすることも、日本社会の特徴と言われています。大阪大学三浦麻子教授らの研究グループによると、「感染した人は自業自得か」という質問に、「そう思う」と答えた人の割合は、米英伊は1~2.5%、中国4.8%に対し、日本は11.5%だったそうです。みなさんの中にも、そういう差別意識はありませんか。「夜の街」とひとくくりにして、働く人びとを差別していませんか。東京都議会では、感染を広めたとされる人や施設に罰則を科す条例案が審議されると報道されています(朝日新聞9月29日付)。誰もが感染する可能性があり、感染するかしないかは運なのに、自分が感染する不安と恐怖から逃れるために、感染者は自分とは違った行動をしたと思い込みたがります。これを、心理学では「公正世界信念」と呼んでいます。不運な感染者にもかかわらず、「頻繁に外出していたのだろう」とか「対策が不十分だったはず」とか、想像でしかない因果関係を仕立てて理解したつもりになって、自分を守ろうとする自然な心の働きなのです。
 しかし、私たち医療や福祉労働者は、その自然な心の働きによって、大きな苦痛を強いられています。働いていること自体が悪いかのようなバッシングや差別を経験していませんか。家族から仕事を辞めるよう言われた、という医療・福祉労働者の声は少なくありません。せめて、私たち民医連職員は、自然な心の働きを知り、差別をしない・させないという気持ちを持とうではありませんか。
 このような社会状況でも、健康格差は広げられていきます。リモートワークが推奨されていますが、リモートワークができるのは、お金のある一部の企業・労働者だけです。格差の下の労働者は、リモートワークできる職業には就いていません。そういう社会階層の下の人ほど、新型コロナに感染しやすいと言えます。実際にニューヨーク市では、地区ごとの新型コロナ感染率を算出したところ、ハーレム地区など、黒人や貧困層が多い地区ほど感染率が高かったそうです。新型コロナ騒ぎは、私たちに何をもたらし、これからどう行動するべきか、記念講演や発表を通じて一緒に考えていきましょう。